妊娠検査薬を見つめる女性

[レポート]10代の支援について考える:「高校生マザーズ」

Life 4 Othersの取り組みとして参加した講演会についてのレポートです。

今回参加したのは、市民活動情報サロンとよなかESDネットワーク主催「10代の支援について考える」という講演会シリーズ。第3回「『高校生マザーズ』について考える」という講演会に参加してきました。

今回の講演会は、大阪市内を中心に、10代後半を対象とした活動を行なっている一般社団法人OFFICEドーナツトークより奥田紗穂さんをお招きしての講演会でした。講演会のテーマは10代で母になった「高校生マザーズ」と呼ばれる女性たちです。彼女たちの現状や支援状況、今後の課題などについてお話を伺うことができました。

講演会の趣旨・団体紹介

講演会の趣旨

今回の講演会は、「10代の支援を考える」というシリーズの一環として行われました。このシリーズは、NPO法人とよなかESDネットワークが主体となり行なっている市民活動サポート事業の1つです。

「10代」をキーワードに、毎回異なるテーマで講演会や交流を行なっています。3回目となる今回の講演会では、「10代で母親になる少女たち(高校生マザーズ)」について考える内容でした。

団体紹介

まずは、講演を行なってくれた一般社団法人OFFICEドーナツトークの紹介です。

ドーナツトークは大阪市内に事務所を構え、子ども若者(10代後半)問題の支援やNPO・行政との中間支援を行なっています。
「子どもや若者が、社会情勢・環境(貧困等)・年齢等にとらわれることなく、それぞれの行き方を安心して選ぶことができる社会を目指す」というビジョンを掲げ、「子ども若者と『サードプレイス(家庭・学校/職場院外の第三の居場所)』をつなぐ」という活動を行なっている団体です。

講演会の主催は豊中市内で活動するNPO法人とよなかESDネットワークです。
「ESD」という言葉、もしかしたら目にしたことがあると言う方もいるのではないでしょうか?「Education Sustainable Development」という言葉の頭文字を並べたもので、「継続可能な開発のための教育」と訳されます。
少々難しく聞こえますが、「すべての人が質の高い教育の恩恵を享受すること」を主な目的として様々な観点から学んでいくことです。(文部科学省によるESDについての解説

講演会の流れ

  1. 高校生を取り巻く状況・背景
  2. 事例紹介(様々な妊娠像)
  3. 高校生マザーズを取り巻く課題
  4. これから望まれる支援

高校生を取り巻く状況・背景

奥田さん(ドナートーク)によると、平成27年度〜平成28年度にかけて全国の公立高校で妊娠が明らかになったの生徒は2098人(文部科学省調べ)。そのうち、約3割の生徒が学校を退学したそうですが、退学に至った経緯までははっきりとわからないそう。本人が修学を希望したにも関わらず、学校側から半ば強制的に退学へ追い込まれるというケースもあるようです。また、退学後の母子支援や教育サポートは不十分なところが多く、その背景には「高校生が妊娠するな」「自分の責任だ」という考えが強いこともあるようです。

ちなみに、アメリカでは妊娠出産した生徒から教育を受ける権利を奪ってはいけないという法律があるため、出産後も教育支援や育児に関するサポートも受けることができる母子限定高校というものが存在するのだとも教えてくれました。

事例紹介(様々な妊娠像)

今回の講演会では「10代の妊娠・出産が必ずしも不幸につながるわけではない」ということを伝えるため、ハッピーエンドな2人の高校生マザーズが紹介されました。

事例1:高校退学後に妊娠が発覚したケース

1人目の生徒は、真面目な性格で学校生活もとてもエンジョイしていたそうです。そんな時、初めての彼氏ができて、思いがけない妊娠が発覚しました。若年で双子の妊娠であることに加え、経済的な不安や妊婦健診時の素行不良などもあったそうです。そのため、想定される様々な「万が一」に備え、ドーナツトークを中心に行政や他団体、病院とも連携し、サポート体制が整えられました。そういった周囲の不安や心配とは裏腹に、少女は無事に双子を出産、また希望していた修学を続けられるよう通信制高校への編入も行われたそうです。
また、少女本人とパートナーはともに虐待を受けた経験があったため、「負の連鎖」が起きることも懸念されていました。しかし、虐待が繰り返されることはなく、経済的には大変ながらも幸せな家庭を築いているそうです。

事例2:虐待サバイバーの高校生マザー

2人目の事例は、過去に日常的な激しい虐待を経験した「虐待サバイバー」の少女でした。彼女は在学中に妊娠が発覚し、そのまま退学することを選びました。一時はパートナーと結婚しましたが、その後離婚。シングルマザーとして、バイトと生活保護で子育てを行うことができたそうです。この少女も、「育ててもらった記憶がない」ということで、子育てに対しては周囲も心配していたようです。しかし、誕生日にはケーキを準備して一緒にお祝いをしたりと、「家族と過ごす」といった経験がなくても、自分の子供と新しい幸せな過ごし方を見つけたようです。

「10代での妊娠・出産」と聞くと、一般的には「未修学」「経済的困窮」といったネガティブなイメージが先行するため「幸せにはなれない」と思われがちなのではないでしょうか?奥田さんによると、確かにそういった事例も少なくないそうです。だからといって、すべての高校生マザースが不幸かと言えばそうではない。「幸せ」と感じ、そう言えるようになり、以前よりも生き生きと生きることができる少女もいると言う事は、忘れてないけない事実ではないでしょうか。

高校生マザーズを取り巻く課題

とは言うものの、高校生マザーズを取り巻く環境は決して10代の妊娠・出産に対して抱擁的ではないようです。

10代での妊娠は、大抵は本人にとっても思いがけない事です。そして、「出産するか・しないか」という決断は、おそらく本人が生まれて初めて経験する大きな自己決定の瞬間でもあります。
パートナーや家族からの「産んでいいよ」という言葉で出産を決意できたケースもあるようですが、すべての妊娠がそのように歓迎されているわけではありません。パートナーが姿を消したため、自分1人で決断しなくてはならないケースも少なくないようです。また、その決断を受け入れるということも、10代の少女にとっては大きな負担になります。

また、特に強調されたのが「『おめでとう』と言ってもらえない」状況でした。

妊娠や出産する決意を周囲に伝えると、大抵は驚くそうです。そして、次に言われるのが「大丈夫?」「無理じゃないか?」というようなことだそう。もちろん、相手も少女の現状や将来を考えて言った言葉かも知れません。しかし、その言葉を聞いた少女自身は「自分の決断は間違いだったのか?」と不安を感じ、自信を無くしてしまうそうです。命が歓迎されないことは、少女たちの心に暗く重い影を落とすこともあるようです。

自分で決めたことを認めてもらえる、そして、生まれてくる命を歓迎してもらえる。そのことが、少女の中に自信を育て、子育てや生活に対する意欲へもつながっていくようでした。

これから望まれる支援

このように、個人レベルだけでなく社会レベルにおいても、日本では10代の妊娠・出産はタブー視される傾向にあり、議論が進まずに必要な支援が整っていない状況です。

生まれてくる命へのサポートはもちろんのこと、これから母になる少女たちにも支援が必要だと話してくれました。

意見交流・質疑応答の内容

講演会の後、参加者からいくつか意見・質問もありました。
興味深いお話をたくさん聞かせていただいたので、まとめて紹介したいと思います。

Q1:高校生マザーズの存在や課題などを顕在化するためにどんな取り組みを行なっているのか?

具体的で重要な取り組みは、「これからも発信していく」こと。また、高校生マザーズ第2弾も行なって、今回よりもディープな話題にも触れていければと思う。
ただ、「知っているのに知らないフリ」をする社会でもあるので、当事者の声を届けたあとの活動については課題もある。

Q2:自己肯定感を育てるために行なっていることは?

「おめでとう」と新しい命と本人の決断を認めること。もちろん、心配なこともたくさんあるが、「前向きに」話す事を心がけている。それに加え、「母親になるんだから」「しっかりしないと」といった言葉は、責任を大きく乗せすぎることもあるので、少女に合わせて伝えている。
「上から目線」ではなく、対等に、本人の気持ちを尊重して接する事を大切にしている。

Q3:「知っているのに知らないふり」をするのは何故なのか?

良くも悪くも「空気を読む」文化が根付いていること。「同調圧力」を生み出す社会でもあるということ。もちろん、ある程度は大切なのだが…。
ただ、不思議なことに「少し変な人」の方が、傷ついた人を癒すことができるみたい。

Q4:「豊中」という地域に合わせた支援活動の方法はあるのか?

豊中市は地域差が大きいので、それぞれの地域に合わせたアプローチを考える必要がある。効果的な方法は「学校の中」へ入って直接アプローチをすることだが、地域性として難しいと思う。何よりも、タブー意識や相談場所がわからないと言った理由で、困っていても「言えない」と言うことが大きな障害になっていると思う。
直接あるいはリアルタイムでコンタクトを取ることが難しい場合でも、「アフターケア」といった支援なら始めやすいのではないか。

Q5:「思いがけない妊娠」の予防はどうしているのか?

社会全体で、性教育をタブー視する風潮があり、学校においての教育も不十分なのは確か。同様に、家庭においてもなかなか性教育が行われにくい。
それに加え、高校生マザーズは過去に虐待を受けていたことが多い。虐待の後遺症として、軽度の知的障害を持っていることが多い。また、高校生マザーズのパートナーも同様であることが多い。妊娠に対する当事者意識が低い傾向もあったりと様々な課題があるため、予防しきれていないのが確か。正直、予防は難しい。

講演会に参加して感じたこと

「10代の妊娠出産」は、「経済難・教育不足・虐待・不幸」といった暗いイメージが一般的なのではないでしょうか?今回は、ハッピーエンドな高校生マザーズのお話だったので、ほっこりと優しい気持ちになり、「早く家に帰って娘を抱っこしたい!」と思いました。

私としては、「幸・不幸は本人が決めること」だと思うので、「10代の妊娠出産=不幸な人生」とは思っていませんでした。ただ、10代というのは一般的には就学中です。その中で妊娠出産となると、「生活はどんな風に変わり、どんな影響を与えるのだろう?」という興味がありました。「知らない世界を覗いてみたい」という、好奇心です。

ほっこりとした気持ちと同時に、「思いがけない妊娠」の背景には、本人たちの知識や考えが不足していたようにも感じました。社会全体の風潮として、全てを「自己責任」で片付けたり、「10代で妊娠するな」という意見もあるようですが、これらは変えられない過去に対して無意味な議論を繰り返しているだけではないでしょうか?

「妊娠した事実」はどうにもできないことです。
過去の事柄について議論を続けても、何も変わらないのです。
ですが、これからの未来は変わるかもしれません。

「これから」について考えることが、非常に大切だと思いました。

「産むのか?産まないのか?」
「修学するのか?しないのか?」
「結婚するのか?しないのか?」
「これからを、どんな風に生きたいのか?」

予測できない未来を考え、決断することは怖いものです。
「自分で決める」という責任の重さを感じ、逃げ出したくなるかもしれません。
それは、「ポジティブ大国」のアメリカでも同じです。

しかし、アメリカには “it’s never too late to start something.” という言葉があります。

「何かを始めるのに遅すぎると言うことはない」

高校生マザーズ本人も、私も、この社会も、これから始めるのはどうでしょうか?
それぞれができる事を考え、実行する。Just do it.
その積み重ねが、幸せな人生や社会へとつながっていくのではないか?と感じました。

一緒に考え、変えていきませんか?

「10代の支援を考える」シリーズはまだまだ続きます。
次回の講演会は、9月18日(水)19:00-20:30市民活動情報サロン(豊中駅北改札口)。
気になるテーマは、「自殺」です。

10代の支援を考える

9月18日(水) 19:00-20:30

市民活動情報サロンおよび、とよなかESDネットワークはFacebookでも情報発信を行なっています。詳しい情報は、そちらからご確認ください。

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